心をぜんぶ持っていかれたんだ

BTSを好きになってほんの数ヶ月。ど新規オルペンの、思いの丈。

BTSに出会って私の世界が変わった話。

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BTSを好きになってほんの数ヶ月、現段階での知識と想いを綴ろうと思う。

 

彼らを好きなって数ヶ月で、私の世界はかなり変わった。

 

私は大人だし、生活の基盤もあって、ミーハーな性質でもないし好奇心も旺盛ではないので、好きなものも増えず、ずっとこのまま生きていくんだろうと思っていた。なんの疑問もないし、特に不満もなかった。ある程度、平均程度かそれより少し上回るくらい、現状に満足もしていた。

 

好きなものはずっと変わらなった。年齢と共に服の好みは多少変動しても、趣味は変わらなかった(趣味と呼べるほど情熱があったわけでもないが)。好きな歌手は中高生の頃から変わらなかったし、好きと言っても新曲が出たら聞いて覚える程度で、ライブに行くわけでもなくCDを毎回買うわけでもなかった。

それが普通だった。

 

一方で、不思議に思っていた。

夏場になると職場の同僚が遠方までフェスに行くこと。会社の朝礼で好きなバンドの新曲が出たと心から幸せそうに話す後輩。みんな好きなもののために、時間やお金や労力をかけていて、心の中で「どうしてそんなに情熱を燃やせるのだろう」と疑問だったし、どこかで羨ましくもあった。

 

 

私にはそういう情熱を燃やせるものがなかった。

そう、私には「推し」という概念がなかった。

 

 

昔から同世代と比べて、芸能人に興味がない方だった。学生の頃、ジャニーズやイケメン若手俳優と呼ばれる人たちの話がクラスで上がっていても、いまいちピンとこなかったし大して関心がなかった。

そういうものを好きになるのは、たぶん一生ないだろうなと漠然と思っていた。

ましてや、大人になると学生の頃より環境の変化がなくなり交友関係も固定されるし、新しい何かが私の生活の中に入ってくるとも思えなかった。

 

 

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少し前から、母がBTSというグループを好きなのは知っていた。

車に乗れば彼らの曲が常に流れていたし、TVでも彼らのYouTube動画をよく流していた。

彼らのことをよく知らないその頃の私は、「ずっと同じ人たちの曲流して、よく飽きないな」くらいにしか思っていなかった。

そんな日常がしばらく続いたある日、母からBTSドキュメンタリー映画に誘われた。一人で行くのは嫌だから、お金は出すから一緒に来て欲しいと。私はよくわからないままOKし、映画館へ足を運んだ。

 

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顔も名前も誰一人知らない状態で行ったその映画で、当時の私が一番記憶に残ったのは、メンバーの一人が日本語を勉強しているシーンだった。「すごく忙しいだろうに、語学の勉強までして偉いな、すごいな」と思った。でも、まだこのときはそれ以上の関心には行き着かず、私はそのままそれまで通りの日常を過ごしていた。

 

 

「ライブが当たった。一緒に行ってほしい」

 

 

ある日母からライブに誘われ、私は彼らのライブに行くことになった。 

ライブに行くなんて何年ぶりだろう。高校生くらいのときに行ったきりかな、なんて考えながら、折角ならとライブで歌うであろうアルバムの曲を聞くようにした。

 

 

そして当日。

前日は眠れなかったという母の話を聞きながら、二人でドームへ向かった。 

指定された席に着き開演まで時間を潰す。ライブというものに行きなれていないので、勝手がわからず少しそわそわした。周りの子達の高揚感も伝わってくるため、余計だった。

ライブが始まりメンバーが出てくると、母に母の推しを聞いた。よくわからないのでとりあえず母の推しを目で追おうと思った。

 

 

 

「緑の髪の人」

 

 

 

母が答えたそれが、テヒョンだった。

 

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わかりやすい髪色だったので、顔が分からなくても目で追いやすかった。公演中はまだ名前も知らない、「緑の髪の人」を追いかけた。

 

 

そして、テヒョンのソロ曲「singularity」が始まった。

 

 

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singularityが始まった瞬間、会場が静まり返った。空気が変わった。

会場の数万人が息を呑む音が聞こえた気がした。私もその中のひとりだった。

私の前の列の女の子は口元を両手を覆い、目の前の光景を目に焼き付けようとしているようだった。

時折悲鳴にも似た歓声が上がる中、singularityの世界は進む。

たった一曲、ほんの数分だった筈なのに、私はもうテヒョンの世界に飲み込まれていて、今思い返すとその時にはもうテヒョンの事が気になって仕方がなかった。

 

ライブ終わり、レストランで夕食を取りながら、ライブのことを母と話した。

「緑の髪の人、たしかにすごく良かった。アンニュイな感じで、好きな雰囲気だった」

私がそう告げると、母は困った顔をした。

「でもその人、普段はテテって呼ばれてて、天然で5歳児って言われてるからなぁ…ライブのVの雰囲気が好きなら、ちょっと違うのかも…」と。

 

私の頭の中には「?」がいっぱいだった。あの妖艶な美しさの人が天然?  5歳児??

全く想像ができず、まあそんなこと言ってもちょっと抜けてるだけなんだろうとか、ちょっと少年みがあるだけなんだろうとか、でも確かにライブの雰囲気が好きだったから、普段の雰囲気よりライブの時の方が好きなのかな?とか、勝手に解釈していた。

 

この時はまだ、「気になるな」程度の感情で、まさかその後私の世界を大きく変えるとは思ってもみなかった。

 

その日の夜から私はテヒョンのことを調べ始めた。母から教わった「V」「テテ」という名前で、Twitter検索をかける。するとライブの感想や、写真や動画がたくさん、本当にたくさん出てきて、彼らがいかに人気かを知った。

次の日は仕事が休みだった為、ツイッターで検索をかけたり、youtubeで探したり、彼らのことをもっと知りたくて、1日それに費やした。休日は必ず外出して買い物をするのが好きだった私が、1日家にこもり、画面と向きあっていた。

 

何時間も見ていられた。彼の美しさを知り、純真さを知り、優しさを知った。ライブの時の雰囲気が好きなのかもなんて、甚だおかしい勘違いだった。彼のぜんぶが好きだった。

 

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それから数日の間に、TwitterBTS専用のアカウントを作り、当時LINE漫画で連載中だった花様年華を読み始め、もっと彼らが知りたくてVLIVEのアプリをダウンロードした。

空き時間はTwitterで画像や動画を見るのが、私の癒やしの時間になった。

 

1週間もしたら、もうこれは「気になる」ではなく、「好き」なんだと自覚するくらい、私の中で大きい存在になっていた。

そして正直、自分がここまで何かを好きになれることに驚き、戸惑いすらあった。

 

それから数ヶ月、その戸惑いにももう慣れて、彼らを好きな自分を自分でよく理解できたし、すっかり彼らは私の一部にもなった。

 

 

初めテヒョンのCGのような美しい姿と雰囲気に飲み込まれた私は、この数ヶ月ですっかりオルペン(全員推し)になった。

だからメンバー別のグッズも中々買えない。彼らがデザインしたキャラクター、BT21の商品も、あるキャラに偏ると他のメンバーに対して謎の罪悪感を勝手に感じてしまうので、バランスよくバラバラで買うようにしている。勝手に罪悪感を感じてしまうのはエゴのような気もするけれど。

 

 

彼らに対する感情は何なんだろうと考えたりもした。異性として格好いいとか、そういうものではない気がした。人として、本当に人間性が好きなんだと思う。血の滲むような努力を惜しまない姿勢や、決して驕らず謙虚で、真摯に物事に取り組む姿勢。愛情深く、思いやる姿勢。

 

 

2018年年末のMAMA授賞式のスピーチで彼らが見せた涙は、きっと彼らを愛する世界中の人の胸に、これ以上ないくらい深く刻まれたと思う。

 

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普段明るいキャラクターのホソクと、BTSの長男であるジンさんが涙し、「2018年の始めごろ精神的に辛く、解散も考えた」とジンさんが語った。

「解散」という言葉が出た瞬間、テヒョンの美しい顔がまるで紙を丸めるみたいにぐしゃっと歪み、涙が溢れる光景は、何度見ても心をえぐられる。

自分たちが思っている以上に高みに上り詰めてしまって、世界中を飛び回る中で一体自分は何者なのか、どこにいるのか分からなくなるような恐怖感や、1位が当たり前だと思われるプレッシャー、分刻みの過密スケジュールによる体力的辛さなど、きっと色々あったんだと思うし、兵役をどうするかもきっと話に出ていたのだと思う。

 

小さな小さな事務所で、デビュー当時は「事務所が小さいしどうせすぐ消える」と言われながらも、必死に7人で走り続けてきた彼ら。スターへの道を駆け上がっていく中で、経済効果も凄まじい額になり、韓国史上前例のない舞台へ立つことも増えて。決して大きくはない国の、たった7人の20代の青年たちが世界の注目を集め、彼らの一挙手一投足がトップニュースになる世界。何気なく言った一言が、ある国では喜ばれ、ある国では悲しみを生むこともありえる世界。彼らが負う重圧は一体どれだけのものだろう。私たちは無意識の内に、彼らの重圧にはなっていないだろうか。彼らを好きなあまり、注目してしまうあまり、不必要に過敏になってしまったりはしていないだろうか。彼らから自由を奪っていないだろうか。私は時々不安になる。

 

多分「2018年の始め」に、彼らに何があったのか、何を思っていたのかはきっとこれからも明かされることなく、彼らの胸の内に秘められたままで私達は知る由もないんだろうし、きっとそれでいいと思う。

でも、メンバー全員が涙したこの授賞式で、涙を流すメンバーにお互いそっと寄り添う姿勢や抱きよせる力強さに、彼らの優しさからくる強さがある気がした。

 

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彼らを見ていると、まるで道徳の授業を受け直してるような感覚にもなる。周りには優しくするんだよ、困った人がいたら助けるんだよ、感謝の気持ちを伝えるんだよ、綺麗なものは綺麗って言うんだよ、と。当たり前だけど実はちょっと難しくて、大人になればなるほど躊躇うことが多くなってしまう、透き通った「当たり前」を、決して押し付けがましくなく、彼らが身をもって示してくれる。

 

先日、大型ショッピングモールの屋外駐車場で、キャラクターが描かれた財布が落ちているのを見かけた。明らかに小さな子供用で、マジックテープのついた薄い財布で、すこし色褪せたものだった。一見しただけでは落し物なのか、捨てられたものなのかも分からなかった。

一瞬、拾うか迷って、ふと思った。「彼らだったら絶対拾う」。

結局私は財布を拾って、近くのスタッフさんに届けたけれど、一瞬迷ってしまった自分がちょっと恥ずかしく思えた。と同時に、正しい行いに導いてくれた彼らに感謝した。

 

そんな風に、日常生活において、ふと彼らが正しい道へ導いてくれることがある。それはとても小さなことだったりするけど、彼らに出会わなければそうなりえなかったに違いない。

彼らとの出会いは、確実に私を豊かにしてくれている。

 

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彼らのお陰で新しく興味を持った事も増えた。

日本から出た事がなかった私が、韓国に年6回行くようになったり、いつかマルタに行きたいと思ったり、ハングルが何となく読めるようになったり。小さな事かもしれないけど、今まで好きな事が増えなかった私にとってはとても大きな変化だった。閉ざされていた世界が広がった気がした。

 

彼らを知る前よりも、ずっと休日が楽しみになったし、何か発売されるとか、ライブがあるとか、ライビュがあるとか、映画だとか新曲だとか、日々流れてくる色んなニュースに心が躍り、楽しみが増え、生活が潤った。

 

 

なぜ、もっと早く彼らを見つける事ができなかったんだろう。

 

 

そういうちょっとした後悔と疑問が湧いてはくるけれど、物事にはタイミングというものがあるし、きっとこれが私のタイミングだったのだと思うことにした。

 

それよりも私は、彼らと同じ時代に、同世代として生きていける事、国は違えど時差もない隣の国で、おやすみもおはようも同じ時間を過ごせる事が幸せでならない。

 

 

きっとこれからずっと、私は彼らのことが好きなんだろうと思う。支えていきたいというと厚かましいし大それているから、「見守っていきたい」が正解なのか。

 

彼らが幸せであることを、毎日祈りながら眠る。

どうか美味しいご飯をお腹いっぱい食べていますように。どうかメンバー同士で、もしくはメンバー以外の誰かと楽しく笑っていますように。どうかあたたかいふわふわのお布団で、ゆっくりと休めていますように。彼らの明日が、幸せな1日でありますように。どうか、どうか。


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